8月22日、新宿フロントタワー28階に位置する「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」レジデンスギャラリーにて、「マンションライフのための『よき避難者』防災ワークショップ」が開催されました。
こちらのイベントは、西新宿5丁目にできる60階建てのタワーマンション、「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」のエリアコミュニティプログラム『西新宿CLASS in the forest』において企画されているもの。
多くのメディアからも注目を集めた1月の「HOMETOWN MEETING vol.1」、5月の「HOMETOWN MEETING vol.2」、7月の「東京おもちゃ美術館 見学会」に続き、第4回目のイベント開催となります。
当日はマンション入居予定者、検討者、関係者など30名を越える方々にご参加いただき、和気あいあいと活発な意見交換が行われる会となりました。
会場の様子を前編・後編の2回にわたって、レポートしていきたいと思います!
■ 第4回目のテーマは、「マンション防災」
改めて、今回のテーマは、「マンションライフのための『よき避難者』防災ワークショップ」。
安全・安心なマンションライフに欠かせない、共助の防災減災。
ところで『よき避難者』とは何でしょうか? そして、どうすればなれるものなのでしょうか――?
防災の日を間近に控え、今回のワークショップではそのあたりをひも解きながら、大震災のリアルな体験談をもとに、実践的な内容を学んでいきます。
■ いざというときに助け合えるつながりを育む、『西新宿CLASS in the forest』
まずは『西新宿CLASS in the forest』の企画を行っているHITOTOWA INC. 荒昌史より、イベントの趣旨についてご紹介。
「エリアコミュニティプログラムは、マンション内や近所の人たちとゆるやかにつながっていこうという取り組み。コミュニティが生まれることでマンション管理の円滑化や子育て問題の解決などさまざまなメリットがあり、防災減災もそのひとつの大切な要素です」と、『西新宿CLASS in the forest』の全体像を説明。
また、「『CLASS』 の3つのコンセプト、『触れる』『支える』『広がる』のうち、『支える』は共助の防災減災を表している」と、『CLASS』のコンセプトとしても防災減災が重要な位置づけであることを紹介しました。
■ 90年以上の歴史を持つ、三菱地所グループ の防災への取り組み
続いて「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」のデベロッパー、三菱地所レジデンスの柴田 純さん、岡崎 新太郎さんが登壇。
柴田さんからは、「西新宿タワー60」の背景について、防災と関わる部分を中心にお話いただきました。
「もともと、西新宿五丁目中央北地区は木造住宅密集地域で、その不燃化を目指して再開発が進められてきたという背景がある。現在はまち全体として、東京都や新宿区とともに、災害に強いまちづくりを行っていこう、という取り組みを進めている」と、柴田さん。
『西新宿タワー60』では、マンションの共用部などのハード面、またコミュニティというソフト面、さらには地域全体との連携など、防災の取り組みをさまざまなところに用意しているといいます。
次に岡崎さんより、三菱地所グループの防災に対する取り組みについてお話いただきました。
「関東大震災以降、毎年9月1日は逃げる訓練ではなく、助ける訓練を繰り返して90年の歴史を重ねてきた」という三菱地所グループの防災への真摯な取り組み。
「3.11以降も、本日講師を務めるCommunity Crossing Japanや、復興応援団とともに南三陸町や石巻を訪れ、実際に被災された方の生の声を聞いて、今日のワークショップでも使う『そなえるカルタ』などのアウトプットにまとめる取り組みを行っています」と岡崎さん。
また70年以上の歴史を持つ防災クラブや、1年に1度ではなく日常の中での防災訓練など、三菱地所グループへの防災への真剣な姿勢が伝わってくるお話をいただきました。
■ 各テーブルではじまる、“ゆるやかなつながり”の第一歩
ここで、各テーブルでのアイスブレイクタイムを。
当日初めて顔を合わせたメンバー同士、自己紹介に加え「普段やっている防災対策」についてお話いただく時間を用意しました。
多世代のさまざまな顔ぶれが集うテーブルで笑顔が出始め、次第に会場の空気が温まっていきます。
■Community Crossing Japanによる『よき避難者』防災ワークショップ開始
そしていよいよ、ゲスト講師を迎えたメインプログラムがスタート。
講師は、マンション防災において注目を集めている「Community Crossing Japan(以下、CCJ)」の吉高美帆さん。『西新宿CLASS in the forest』のナビゲーターのお一人でもあります。
CCJは、防災ワークショップを通じて“よき避難者”を育てる取り組みを行っている団体。南三陸町に拠点を置く復興応援団とともに、東日本大震災のリアルを体験された方の声をもとにした実践的な研修などを行っています。
「体験いただくワークショップは、すべて被災地の声です。どんなことで苦労されたのか、どんなことをやっておけばよかったのか。涙ながらに語ってくださった方、たくさんいらっしゃいました。それを活かしていきましょう」と、吉高さん。
阪神淡路大震災のデータでは、残念ながら77%の方が、発災からまもなく窒息・圧死で亡くなっている、というデータがあるとのこと。一方である街では、人命救助を行った方の半数以上、64%が、親戚でも親友でもなく、「近所の方」だったと言います。
「近所の方とのつながりがなければ、助かる命も助からない。本当に、命が助かるためにはどうしていったらいいか?を、今日は一緒に考えていきましょう」と会場に呼びかけます。
■マンション防災に大切なのが「共助」。「公助」はすぐには届かない
電気やガスなどのライフラインが止まったとき、被災者は、避難者になります。そしてマンションの中で避難生活を送ることになったとき、自助とともに大切なのが、ともに助けあう「共助」。
「私たちは行政や自衛隊による『公助』を期待しがちですが、公助は7-10日間は行き渡らないと考えておいたほうがよいです。都市部で広範囲で大災害が起こってしまったら、それはしかたのないこと。だからこそ『共助』が大切」と吉高さん。
その後、東日本大震災で避難所の運営に携わっていた方々へのヒアリングをもとにした「大震災のリアル」について「発災から3日間」「発災後1週間」「発災後2週間〜1ヵ月」の3つの時期について、具体的な現地の声を紹介しました。
「小中学校などの指定避難所には全員が避難できるわけではありません。マンション内で被災生活を送っていくためには、自主的な運営が必要不可欠。そこで、受け身ではなく、ひとりひとりが主体的に適切な行動をとることができる“よき避難者”となることが大切です」
大規模マンション内には医療従事者や保育士など、多様な特技を持つ方も集まる環境にあるため、平時から関係づくりを行っていれば、有事のときには助けあうとこができるはずだと、吉高さんは語ります。
さて、いよいよ後半は、各グループ内のワークがスタート!
レポート後編では、「マンション内散策体験」や「トイレ・情報(安否確認)」をテーマに、グループ内で活発な意見交換が行われる様子をご紹介します。
<後編はこちらから>