11月21日(土)、『CLASS 60』第6回目のイベントとなる「ジビエ料理 試食会」が開催されました。
今回のナビゲーターは、「ザ・パークハウス西新宿タワー60」で『クリエイティブスペース』や『ミーティングスペース』の空間プロデュースを担当する一般社団法人more treesの水谷伸吉さん。また特別ゲストにジビエ料理の専門家である、特定非営利活動法人 伝統肉協会の石崎英治さんもお迎えしました。
「ジビエ料理が試食できる!」ということで、当日はマンション入居予定者、関係者など30名以上の方々が参加。これからの西新宿における暮らしについての会話も盛り上がり、和やかながらも活発な、交流ムード漂う空間となりました。
ではさっそく、当日の様子を、前編・後編の2回にわたってご紹介していきましょう!
第6回目のテーマは「食でつなぐ森のものがたり」
こちらのイベントは、西新宿5丁目にできる60階建てのタワーマンション、「ザ・パークハウス西新宿タワー60」のエリアコミュニティプログラム『西新宿CLASS in the forest』において企画されているもの。
多くのメディアからも注目を集めた1月の「HOMETOWN MEETING vol.1」を皮切りに、今回が第6回目のイベント開催となります(過去のイベントレポートはこちらから)。
当日は天気に恵まれ、会場からは見事な富士山を望むことができました。
2015年度グッドデザイン賞も受賞、『西新宿CLASS in the forest』
まずは『西新宿CLASS in the forest』の企画を行うHITOTOWA INC. 谷優香より、イベントの趣旨についてご紹介。
マンション内や近所の人たちとの“ゆるやかなつながり”をつくるエリアコミュニティプログラム『西新宿CLASS in the forest』は、すでにさまざまなメディアに取り上げられ、先日は2015年度グッドデザイン賞を受賞するなど、いろいろな切り口で注目を集めています。
「3つのコンセプト『五感で触れる自然』『共助の防災減災』『国際先進都市としての多様性』をテーマに、これからもいろいろなコンテンツをご用意していきます」と谷。
「ぜひ今日の2時間でも、将来マンションで出会ったときに『どうも』と笑顔をかわせるような関係を築いていただければ」と語りかけます。
「地域のコミュニティを求めてこの場所を選んだ」という方も
まずは着席しているグループにわかれて自己紹介タイム。
年齢も性別も属性もさまざまな方々が集い、ゆるやかなつながりの輪がここから始まってゆきます。この日はナビゲーターの水谷さんにもグループに参加いただきました。
あるご夫婦からは「田舎出身で、もともと地域のコミュニティがすごく身近にあった。西新宿でも、利便性だけではなく地域のコミュニティがある場所を探していて、このマンションを選びました」というコメントも。
実際、その日も会場には、20年来この地の再開発に携わってこられている西新宿五丁目中央北地区の再開発組合から、理事長の若村さんと副理事長の松浦さんがいらっしゃっていました。皆さまのおかげで、地域とのつながりの輪も少しずつ、広がりはじめています。
本日のナビゲーター、more treesの水谷伸吉さん
本日のナビゲーターを務めていただくのは一般社団法人 more trees事務局長の、水谷伸吉さん。
「今日は西新宿という都会のど真ん中で、あえて森のお話をしたいと思っています。都会のど真ん中に暮らしながら、どういう形で森と関わっていけるかというヒントを、今日はみなさんにひとつでも持って帰っていただければと思います」と、森の話がはじまります。
冒頭は世界の森の話から。水谷さんによると、世界では「1秒間にテニスコート20面分の森が失われている」とか。特にブラジルのアマゾンや東南アジアの熱帯雨林などでは、減少が著しいといいます。
「僕自身、以前インドネシアのボルネオ島で植林活動やオランウータンのリハビリサポートなどを行っていました。ボルネオ島は日本列島の倍の面積ですが、この60年間で日本列島丸々1個分の森が失われているに等しいんですね」と、森の現状を語ります。
日本の森は、増えている? 減っている?
では、「世界的には急速に森が失われているなかで、日本の森は、この100年で増えている? 減っている?」。投げかけられたこのクイズに、会場の答えは半々。
「実はすごく増えているんです」と水谷さん。今から180年前の浮世絵や、六甲山の写真などで今昔の変化を紹介します。一度は都の造成などのために伐採が進みハゲ山に近くなっていた森が、その後100年以上かけて回復し、日本各地で森が増えているのだといいます。今では、日本国土の約67%が森林に。
「一方で、日本人の『木材自給率』は、約3割程度。7割は輸入に頼っています。戦後間もないころは100%自給できていたのですが、その後木材の貿易が自由化され、林業は半世紀前から国際競争の波にもまれてきたんですね」と、水谷さん。
また戦後、高度経済成長期では木材が大量に必要になり、国策での奨励もあって、日本にはたくさんの木が植えられました。「まっすぐ柱にもなりやすく、成長も早い針葉樹、特にスギ・ヒノキが優先的に植えられた」のがこの頃なのだそうです。
適度に間伐し、使うことで、森のめぐみが続いてゆく
こうした人工林の管理で大切になってくるのが、間伐。「育ちの悪い木をまびくことで、木と木の感覚が適度に空き、日光が降り注ぐようになります。間伐をしないと、光が届かず、下草が生えない。すると雨が降ったときに土砂崩れが起きてしまうことになるんです」。
日本の森、とくにスギやヒノキの人工林というのは、適度に切り、利用することでで林業のサイクルが生まれるのだそう。
「熱帯雨林を無秩序に伐採するのはよくない。ただ、私たちが使う前提で植えた森は、50年サイクルで収穫できる畑のようなものですから、ちゃんと植えた木を手入れして、日本の木を使っていくことが、森に対しての感謝のあらわれではないか」と語ります。
マンションの共用部にも、日本の木材をふんだんに使用
そしてまさに、今回のタワーマンション「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」の2階共用部にも、more treesが空間プロデュースを担当しているスペースがあります。
それが、『クリエイティブスペース』、『エキシビションスペース』、『ミーティングスペース』の3つのコミュニティスペース。
「『クリエイティブスペース』は、スギとヒノキをふんだんに使った空間にする予定です。目玉のひとつが、スギをくりぬいた、かまくらのようなイメージの『スギタマゴ』。ここで瞑想したり、読書したり、仕事で企画を考えたいというときにおすすめです。ヒノキの香りには、シャキッとする覚醒効果があるといわれているんですよ」
山梨県の赤松の木を使った展示棚を予定しているという『エキシビションスペース』は、「ここに、みなさんの作品を飾ったりして、作品を通した交流が生まれるきっかけになれば」と語ります。
3つめの『ミーティングスペース』は、その名の通り会議室なのですが、よく見ると、テーブルが細かく分けられるようになっていて、レイアウトが自由自在。
「テーマは、フラット&トランスフォーム。円卓にしたり、スクール形式にしたりと、組み合わせのパターンは無限にあります。日本の木のぬくもりを感じながら、会議をしたり、自習やワークショップをしたり、用途に合わせて自由自在に使っていただける空間になればと思っています」。
都心で暮らしながらも、国産材のぬくもりに触れ、日常の中で日本の森とのつながりを感じられそうですね。
さて、前半では世界と日本の森の現状について学んだ様子をご紹介してきました。
いよいよ後編では、お待ちかねのジビエの話、そして試食会の様子をお伝えします……!
〈つづく〉